私を壊して そしてキスして

そして対応してくれたのは、恐らくたまたま通り掛かった従業員。


「おぉ、来たか」


奥の部屋から顔を出したのは、スーツの似合う男の人だった。


その部屋に通されても堂々とした態度の翔梧さん。


「初めまして。香坂菜那です」

「硬くならないで。
ここはそんなとこじゃないからね。
初めまして、平井です」


そう言いながら、名刺を差し出してくれる。
それを両手で受けとると、「社長、お茶は何に?」とさっきの部屋から声がする。


「翔梧はコーヒーだな。香坂さんは何にする? 
コーヒーと紅茶と緑茶と……あとなんだ?」


そんな平井さんがおかしくて。


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