私を壊して そしてキスして
一心不乱に仕事をしていると、上田さんが私の肩を叩く。
「もう、上がりなさい」
「でも……」
まだあと何枚か未入力の書類が残っていた。
「あとは、アナログ君が頑張るわよ。
香坂さん、少し体調がよくないって聞いているから。
香坂さんって、柳瀬さんの推薦なんでしょ?」
「えっ、はい」
翔梧さんの名前が出て驚く。
「私ね、前の会社で、セクハラされてて……助けてもらったのよね」
「えっ?」
「もともと柳瀬さんと取引があって、同行していた上司にそういうことをされているって気がついた彼が、すぐにここに引っ張ってくれたの。
だから彼には感謝してる」
そんなことがあったなんて、少しも知らなかった。
彼はやっぱり救世主。