私を壊して そしてキスして
「柳瀬さんの……彼女なのかしら」
「いえ、そういうわけじゃ……」
彼女なんて言われると、とても照れくさい。
そして、私たちの関係はとても複雑だ。
難しい関係から始まったから。
だけど私は彼を……。そして、彼も私を――。
「じゃあ、狙われてるわけね」
クスッと笑った彼女は、洞察力が鋭いのかもしれない。
平井さんは私たちの微妙な関係を知っているけれど、きっと口外するような人じゃないから。
彼女はためらう私から書類を奪って、帰りを促す。
「大丈夫、焦らないで。
ここは頑張ればちゃんと評価してくれる。
きっと香坂さんも、花開くと思うわよ」
「ありがとうございます」
久しぶりに、爽快な気分だった。