私を壊して そしてキスして
その夜は、久しぶりにぐっすり眠れる気がした。
彼のよりずっと小さ目に作ったハンバーグを食べても、吐かずにいられた。
「菜那」
一緒にベッドに滑り込んだ彼が、お風呂のせいかぽかぽか温かい。
「――はい」
「キス、していいか?」
「えっ?」
靖司に叩かれた時以外、自分からは決してそんなことをしてこなかった彼が、突然そう言いだして驚く。
「嫌か?」
私はその言葉に、首を横に振った。
私の上に覆いかぶさるように、ゆっくり近づいてきた彼に目を閉じると、やがて柔らかい感覚に酔いしれる。
少しも嫌じゃない。
靖司とあんなことになって、ずっと怖かったけれど、彼と一緒ならもう一度始められる気がする。