私を壊して そしてキスして

「はぁ……」


息をする度声が漏れてしまって少し恥ずかしいけれど、そんなこともかまわず私を攻めてくる彼。

そんな強引さが、今の私にはうれしかった。

何も考えたくない。
ただ、誰かに冷え切った心を温めて欲しい。


唇をそっと離した彼は、私の瞳をじっと覗き込む。
私が彼を見つめ返すと、そのままベッドに押し倒された。



「菜那、ずっと好きだった――」


色気を放つ彼の口から、そんな言葉が飛び出して驚く。


「ずっと、菜那を抱くことを、夢見てきた」

「柳瀬、さん……」

「名前、呼んで?」


彼が私の顎のあたりを撫でながら、溜息交じりにそう囁く。


「――翔梧(しょうご)、さん」


私がそう囁いた瞬間、ギュッと腕の中に閉じ込められた。



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