私を壊して そしてキスして
靖司が愛希から離れたのは、私が全く関係ないっていったら、そうじゃないかもしれない。
私とやり直したいなんて、あの時言った彼。
そして、それを拒んだ私。
少し顔色の悪い愛希もまた、私と同じように苦しいのかもしれない。
それでもやっぱり、今は理解ある姉の顔なんてとてもできない。
愛希を振り切るように飛び出して、電車に乗ってぼーっとする。
帰宅ラッシュのせいで混んでいるそこでも、誰の声も耳に入ってこない。
いつの間にか降りるべき駅が過ぎ去っていて、少し慌てる。
気がつくと、かつて何度も通った会社のビルのある駅で降りていた。