私を壊して そしてキスして
「菜那……」
艶めかしく私を呼ぶ彼に、何も言う事ができない。
「ずっと好きだった。もう、諦めないとと思いながら、それでもやっぱり、お前の事が……」
知らなかった。
彼がそんな風に私を見ていてくれたことを。
いつも優しく、そして時には厳しく、私を見守ってくいてくれた彼が――。
彼が私のブラウスのボタンに手をかける。
少し緊張したけれど、誰かに抱いてほしい。
何もかも忘れてしまいたい。
粉々になるまで、壊して……。