私を壊して そしてキスして
目が真っ赤になってしまった私のために、タクシーを止めてくれた彼。
その車内では、何も言わずに私の手を握っていてくれた。
部屋に入った瞬間、グイッと腰を引かれて、もう一度抱き寄せられる。
「菜那……どうしたんだ? なんで、泣いてる?」
「――ごめんなさい」
「謝らなくていい。泣きたければ泣けばいい。
だけど……俺が助けてやるから、ちゃんと話せ」
私の耳元でそう言う彼。
「――うん」
彼は私をソファーに座らせると、自分も隣に座って、ネクタイを外した。