私を壊して そしてキスして
「愛希は私の大切な妹なの。
愛希を傷つけるのは許さない」
「お姉ちゃん……」
「許さない……」
「お前だって、こんな男を作って、俺の事だけ言えるのかよ」
その言葉に唇を噛みしめた私の手を握ってくれたのは、翔梧さんだった。
「お前、何も分かってないんだな」
「はっ?」
「よかったよ、お前に菜那を渡さなくて。
菜那はお前のことを、本気で好きだったのに。
俺の事なんて、目に入らない程な」
目を見開いた靖司が、何か口を開こうとしたとき……
「お姉ちゃん、ごめんなさい」
愛希の悲痛な声が耳に届いた。
「ごめんなさい」
「――愛希」