私を壊して そしてキスして

「私、目が覚めた。
靖司さん、私もお姉ちゃんも、一人の人を愛せない人なんて、興味がありません。
もう……かかわらないで」


愛希がその言葉を口にするのに必要だった勇気は、どれほどだっただろう。


それでも、奥歯を噛みしめながら、一生懸命笑おうとしている愛希は、きっとこれから素敵な出会いをしていくだろうと思う。

私と、翔梧さんのような――。



「菜那は、俺が幸せにする」


最後にそう言った翔梧さんは、唖然としている靖司を置き去りにして、私の手を取って、立ち上がる。


< 262 / 372 >

この作品をシェア

pagetop