私を壊して そしてキスして

「愛希ちゃん。愛希ちゃんも幸せになってほしい。
君の大切なお姉さんは、俺がもらってもいいかな?」

「はい。お願いします」


翔梧さんが、愛希も促してそこを出た時、愛希がポロポロ泣き出してしまった。


「愛希……」

「お姉……ちゃん。私……」


鼻をすすりながら声を震わせる愛希に、思い切って口を開く。


「愛希、一発いい?」

「えっ?」


ハッと顔をあげた愛希に、ゆっくり手を振り下ろして頬に触れる。


「もう、これでおしまい。もう泣かないの」


私の言葉に愛希が首を大きく振る。



< 263 / 372 >

この作品をシェア

pagetop