私を壊して そしてキスして

「ごめんなさい。
私っ……靖司さんが初めての人だったの。
だから、すごく好きなんだって、錯覚してたかもしれない」

「もう、いいよ、愛希」

「よくない。
私、お姉ちゃんの結婚、ダメにしちゃって……私、本当にひどい……」


愛希が上手く話せなくなってしまったとき、翔梧さんが口を開いた。


「愛希ちゃん、ありがとう」

「えっ?」

「君がいなければ、俺はこうして菜那の隣にはいられなかった。
そして、菜那も、不幸になっていたかもしれない」


彼の言葉に驚いて、思わず見上げると、ニッコリ微笑みかけてくれる。




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