私を壊して そしてキスして
「菜那の幸せは、もう決まったから。今度は愛希ちゃんの番だ」
私の幸せは、もう決まった……。
彼のその言葉に、今度は私が泣きそうになった。
そっと差し出したハンカチを愛希がギュッと握りしめる。
「ごめんなさい……ごめんなさい」
震える声でそうつぶやき続ける愛希の頭を、翔梧さんは優しく撫でた。
「俺のかわいい妹だ」
その時つぶやいた彼の言葉は、やっぱり私の涙を誘う。
彼が私たち姉妹に取り戻してくれた、絆。
靖司を挟んで、いがみ合っていたのが、信じられないほどに。
靖司も、考え直してほしい。
もう、誰も傷つけて欲しくないから。