私を壊して そしてキスして

肌の温もり


それからもう、全く吐くことが無くなった。
少しずつ食事もとれるようになって、それを目を細めて喜んでくれる翔梧さん。


愛希は、靖司とのいきさつを、両親に告白したと言ってきたから驚いた。


「お父さんに叩かれちゃった」

そう電話越しに話した彼女の声は、少しも沈んでなんていなくて。



すぐにかかってきた母からの電話。
その電話越しに、母は泣いていた。


「ごめんなさい。
あなたを信じてあげられなかった……」


そんな風に言われて、やっぱり涙がポロッとこぼれたけれど、きっとあの時は仕方がなかったんだ。


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