私を壊して そしてキスして
壊して
次の日、彼の休みに合わせて上田さんに恐る恐る休みを願い出ると、あっさり認められて拍子抜けする。
まだ、働き始めたばかりなのに。
「本当にすいません」
「いいの。気にしないで」
そして、私の耳元でささやく。
「今しか取れないもんね。柳瀬さん、忙しくなるし」
薄々私と彼の関係に気がついていた上田さんにそう言われて、恥ずかしくなる。
「何話してるんですか?」
「女同士の秘密よ」
何も知らない橋本さんが、興味津々に乗り出してきたけれど、まだ知られるのは恥ずかしい。
「あー、菜那ちゃんお休み?」
「すいませ……」
「橋本だって失恋したとき休ませてあげたでしょ?」
「ひ、酷いなぁ。そんなこと菜那ちゃんに言わなくたって」
複雑な顔をした彼をクスクス笑う上田さん。
上田さんにはいつまでたっても勝てそうにない。