私を壊して そしてキスして
「菜那、何があったんだ? どうして、幸せじゃないんだ」
彼が私を抱き寄せて、私の髪に指を入れながらそう聞く。
「ダメに、なったんです」
「彼氏とか?」
「――はい」
そう言った瞬間、もう一度強く抱き寄せられて、彼の少し速い鼓動までが耳に響いてくる。
「辛かったな。お前一人で抱えていたんだな。
気付いてやれなくて、悪かった」
気付いてやれなくてなんて……。
そんなの当たり前だ。
彼にそんな風に言われて、私の頭の中をあの日からの事が駆け巡る。
今でも、彼と愛希が会っているのかは分からない。
それでも、そんな光景が頭から離れない。