私を壊して そしてキスして
「上田、今日のアポ、何時だった?」
「社長、もういい加減自分で管理してくださいね。
私は秘書じゃありません」
上田さんが、顔を出した平井さんの質問をぴしゃりと返して、ため息交じりに厚い手帳を開く。
「ね、あの二人、いいコンビでしょ?」
今度は橋本さんが私の耳元で囁いた。
慌ただしく毎日が過ぎる。
体調の良くなってきた私も、ドンドン営業に行くようになって、少しずつだけど、役に立てていると感じることができるようになった。
翔梧さんは、ほとんどの引き継ぎを終えて、休みに入る。
あんな大きな会社をあっさり辞めて、ずっと規模の小さい会社に移る彼に驚いたけれど、平井さんと彼なら、これから先必ず成功する気がする。