私を壊して そしてキスして
その日、彼に誘われて、少しお洒落なレストランに来ていた。
仕事が忙しくなってきた私を気遣って、時々外食に出るようになったのだけれど、彼と待ち合わせしたそこは、今までとは違う雰囲気。
お店の人に椅子を引いてもらって座るのは、少し緊張した。
少し背伸びをして、黒いワンピースなんて着てみた私。
場違いでなければいいのだけれど……。
「翔梧さん、お疲れ様でした」
グラスに注がれた赤ワインで乾杯する。
「ありがとう。これから、よろしくな。
今日はまた、いい女だな」
「そんな……」
彼にそんなことを言われて思わず俯くと、「よく似合ってる」なんて褒めてくれるからドキドキしてしまう。