私を壊して そしてキスして
彼はクスクス笑いながらその箱を開けて、ダイヤの指輪を私の薬指にはめる。
彼ときちんと付き合い始めたのは、まだほんの少し前。
だけど、彼と私が共有した時間は、もう何年になるだろう。
その指輪に目を落とすと、少し暗めの明かりに照らされて、キラキラ眩い光を放っている。
「結婚、しよう」
もう一度彼がそう言ってくれたとき、涙が溢れてしまった。
「私……」
「Yesしか聞かない」
私がためらっていると、強い彼の言葉。
私なんかでいいんだろうか。こんな弱い私で――。
彼は後悔しないだろうか。
だけど、この先きっと、一生を共にしたいのはやっぱり目の前の彼で。
「――はい。お願いします」
私がやっとのことで口にしたその言葉を、彼はにっこり微笑みながら聞いてくれた。