私を壊して そしてキスして

「すぐに籍を入れたいのですが……」


突然、だけど、当然のようにそう言う彼。

それはやっぱり私の不安を気にしてくれたんだと、そう思う。
もう私が迷うことがないように、導いてくれる。

そして、そうしてくれようとする彼の優しさに、父も母も気がついて。


「えぇ、お願いします」

だなんて、とんとん拍子で事が運んだ。


父も母も、一度ダメになってしまった私の結婚を心から喜んでくれるのが分かる。

もう二度と結婚ということを考えられないかもしれないとさえ思っていたのに、こんなに早く……。

そして、父と母と、そして愛希とこうして笑いあえる喜び。


それは、全部、翔梧さんがくれたもの。



< 285 / 372 >

この作品をシェア

pagetop