私を壊して そしてキスして

「翔梧さんって……道楽息子?」

「あはは。
あのさ、実は家は華道を代々していて、親父が今そのトップにいる。

俺は小さい頃から、作法やらなんやら詰め込まれたけど、全然花に興味なんてなくてさ。
ちょっとした隙に脱走しては、泥んこになって帰ってきて、いつも絞られてたなぁ」


目を細めながら昔を思い出しているような彼は、とても穏やかな顔をしていた。


「華道の家元ってことですか?」

「まぁ、そんなとこだ。だけど、大きな流派じゃないし、気にするな」

「気になります!」


そんなこと、初めて聞いた。
どうしよう、私が嫁なんかじゃきっと……。


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