私を壊して そしてキスして
「大丈夫だって。
親父もお袋も、割と古臭い人間じゃないんだ。
そうでなきゃ、今頃俺はこの家に縛りつけられているだろう?
好きなようにさせてくれるのは、親父も華道から逃げたい時期があったからなんだ。
華道が本当に好きじゃないと継がせないって、小さいころから耳にタコができるくらい聞かされていて、もう俺のことは諦めてるよ」
そんな……。
もしそんなことを言っていたとしても、どこかで期待しているんじゃないだろうか。
「それに、この世界だって甘くはない。
俺よりずっと才能がある人がたくさんいる。
それなのに世襲の一言で継ぐのは、俺も嫌なんだ。
能力があるもの、努力をしたものが成功を収める。
それはビジネスでも同じだ。
そうあってほしいと思ってる」