私を壊して そしてキスして

「ヤダ……」


思わず発してしまった言葉に驚く彼は、慌てて私の顔を覗き込む。


「イヤッ、イヤ……」

「菜那、大丈夫だ」


勝手に流れ出す涙を拭いながら、頬を優しく包んでくれる手。


「愛希が……妹がっ……」

「妹がどうした」


もうそれ以上何も言えなくなって、ただ首を振る私を強い力で彼が抑える。


「菜那。お前、もしかして?」


きっと真実に気がついた彼が、目を見開いて私を見つめるから、目を逸らしてしまう。


「もう、家に帰りたくない」


ほとんど懇願のような叫びが、思わず口をついて出る。


彼に触れているかもしれない妹と、未だ一つ屋根の下に暮らすことの屈辱。

真実を何も知らない両親の、冷たい目。



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