私を壊して そしてキスして

彼の言葉で、納得した。

彼は仕事でいつもそういうスタンスだったと思う。


新人でも中堅でも、懸命に頑張っている人には惜しみなく知恵を貸していたし、成功した時には自分のことのように喜んでいた。

そんな彼だから、みんな一目置いていたのだ。


「それに……」


ニヤッと笑った彼は、私の耳元に唇を近づけて囁く。


「俺がこの家の道楽息子だと、結婚はお断りなのか?」

「えっ……いえっ……」


彼の方が完全に上手だ。

彼の言うとおり、彼がどこの誰でも私は彼と一緒に生きていきたい。
そんな風に思うと、少し緊張が緩む。

ごく中流階級のごく平凡なOL。
華道など一度だって習ったこともない。

でも……私は彼と――。


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