私を壊して そしてキスして
「俺、結構親には心配かけてきたから、俺の方が緊張する」
「翔梧さんが?」
「その通り。
小さいころなんて、結構色々したぞ?
じっと座ってるのが性に合わなくて、いつも華道の時間になるとこっそり隠れたり、脱走してたな。
お弟子さんの息子で気の合うやつがいてさ。
そいつといつも抜け出しては、暗くなるまで遊びほうけて。
叱られるの、分かってるのに」
すごく意外だ。
「時には親父が怒り狂って、お弟子さん総出で捕まえに来たこともあって、流石にその後しばらくはおとなしくしてたけど……」
そんな翔梧さんが想像できなくて、少し笑ってしまう。
けれど、完璧すぎて私とは遠いところにいるような気がしていた彼が、グーンと近くなった気がしていた。