私を壊して そしてキスして
立派な門をくぐるのだけで緊張する。
だけど、彼はそんなことはおかまいなしで、私の手をぐいぐい引っ張る。
「大丈夫だって」
「だって……」
そうは言われても、強張ってしまう顔。
門から玄関までが遠くて驚く。
そして、その間の庭も手入れが行き届いていて、思わずキョロキョロしてしまう。
「翔梧、来たのか」
「はい」
突然大きな庭の奥から、彼に似た紳士が現れた。
「親父」
彼がにっこり笑って私に紹介してくれたのは、お父様……。
「えっ、あっ。初めまして、香坂です」
慌てて頭を下げると、翔梧さんと同じように優しい笑顔で笑ってくれて安心した。