私を壊して そしてキスして
素敵な和室に通されて、緊張の面持ちで座ると、程なくしてお母様がお茶を持ってきてくれた。
どうしよう。作法とかあるのかな?
何もわからないや。
「初めまして。香坂菜那です」
分からないなりに丁寧に深々と頭を下げてそう言うと、優しい声が降ってきた。
「そんな堅苦しい挨拶はいいですよ。
みなさんここに来られると緊張するなんておっしゃいますけど、そんな必要ありません。
それに……あなたの事は、ずっと前から聞かされていますから、初めて会った人だとは思えないもの」
「母さん!」
クスクス笑うお母様と、何だか焦った顔をした彼。