私を壊して そしてキスして
私も、柳瀬さんと離れるのは正直寂しい。
入社した私に、仕事を教えてくれたのは、当時主任だった柳瀬さんだった。
ドジで、飲み込みが悪くて……それでも何度も何度も教えてくれて。
時にはすごく怒られたりもしたけれど、私がここまでやってこれたのは、彼のおかげ。
「まぁ、飲んで」
何だか分からない理由で、恵美さんが私のコップにビールを注ぐ。
「ほら、飲んで」
「もう、お前はあっち。おーい、中川。この酔っ払いどうにかしろ」
私が一口飲んだのを見ては注がれるそれを見て、柳瀬さんが恵美さんを引き離してくれる。