私を壊して そしてキスして
「帰らなくていい」
「えっ?」
「こんなに壊れて……そんな風になってまで、我慢することなんてない。
俺が何とかしてやる」
そんなこと……そんなことできない。
フラれて傷ついて、酔った挙句に転がり込んだ私。
彼にそこまでしてもらう義理なんて、ない。
「言っただろ。俺はずっと菜那が好きだった――。
どんなにドジを踏んでも、懸命に挽回しようとするのを見て、可愛い奴だと思ってた。
いつも一緒にいるうちに、ずっとこうしていられたらって。
だけど、お前に結婚を考えているヤツがいるって聞いて、ひどく落ち込んで。
それでも、奪ってやりたいと思ったけど、お前があんまり幸せそうだったから……。
だけど、もう我慢できない」
彼は私を真剣な眼差しで見つめながら、強い口調でそういった。