私を壊して そしてキスして
「翔梧さんのお母様、とっても素敵な人だった」
私がそう言うと、手首を引かれて隣に座らせられた。
「ありがとう。
でも気をつけろ? あの人は何を考えているか予測がつかない。
親父より怖いよ」
「そんなことないですよ。母の愛は偉大だって、私、よくわかりました」
何のことかわからないといった様子の彼は、私を更に抱き寄せて、こめかみあたりにキスをする。
「本当のことを言うと、菜那に出会うまで、継いでもいいかと思ってた。
一人息子だしな」
「えっ?」
「だけど、菜那の事を追いかけて、自分の気持ちに背くことなく生活するのが、こんなに素晴らしいものだと知って。
お前の結婚を知ったころは、苦しかったけどな」
「翔梧さん……」
彼が私の肩を抱き寄せる。