私を壊して そしてキスして
旅行から帰ってきて、2人で提出した婚姻届。
すごく緊張したけれど、役所の人の「おめでとうございます」の一言で、これが本当のことだって実感した。
「柳瀬菜那さん」
「――はい」
彼が私をからかって、そう呼ぶ。
柳瀬さんなんて言われたって、まだ反応できないけれど……そんな呼ばれ方はくすぐったいけれど――。
本当の意味で夫婦になったこの日、私たちは激しく抱き合った。
やっと手に入った幸せを、もう離すまいとするように。
「本当なんだな。菜那をこうして抱いているのは」
「そうだよ?」
彼もまた、私と同じように、この結婚を喜んでいてくれるのが分かって、たまらなく幸せ。