私を壊して そしてキスして

「なんすか、今度は公開プロポーズ?」

「そんなとこだ。上田、返事は?」

「――はい」


いつもはシャキシャキした彼女が、女の子に戻った瞬間。
少し頬を赤らめて、俯いてしまう。


「ということだ。乾杯!」


無理矢理まとめてしまった平井さんは、そう言いながら一気にビールを煽る。


「なんすか!」

「まぁ、呑め」

「呑みますけど、そりゃ……」


納得いかないと言うような顔をした橋本さんが、仕方なさそうにビールを口に運ぶ。


「ねぇ、菜那ちゃん。本当なの?」


私にそう聞く橋本さんを翔梧さんが引き離す。


「俺の嫁に、気安く話しかけるな」

「あーっ、マジなんだ」


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