私を壊して そしてキスして
一通りおつまみを作り終わった私たちは、広い和室に置かれたこたつに向かった。
「ありがとう、菜那」
「いえ。足りますか?」
「おぉ。菜那も食え。美味いぞ」
そういって差し出されたのは、私が作ったホタテのカルパッチョだ。
「なに話してたの?」
恭子さんも加わってそう突っ込むと、「そんなの内緒だ」なんて言われてすねている。
「恭子さんも呑んで下さい」
「悪いわね」
ビールを豪快に喉に送り込む恭子さんを、優しく見つめる平井さん。
とてもお似合いの二人だと思う。
「そういえば、留守は頼むな」
「まぁ、仕方ない」
二人はもうすぐ新婚旅行に行くのだ。