私を壊して そしてキスして

「ねぇ、恋バナはないわけ?」


酔っているのかそうでないのか分からない恭子さんが、二人にけしかける。

すると、一瞬にして凍りついた二人が顔を見合わせて固まっている。


「あやしい」


その雰囲気に気が付いた彼女が、おもしろがって益々二人を煽るから私まで笑ってしまった。


「あやしいって、何も。な、翔梧」

「おぉ」


途端に歯切れの悪くなった二人をじろっとにらんだ恭子さんは、何も言わずに平井さんから視線を外さない。

無言が一番怖いって、本当かも?


「マジだって。まぁ、二人ともそれなりに彼女とかいた時期はあったよ? 
そ、そりゃ年頃の男だから、それなりにはね」

「ふーん。何人?」


こ、怖いよ、恭子さん。



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