私を壊して そしてキスして

「俺も二人だ。文句あるか!」


翔梧さんがそう言ったとき、ちょっと複雑な気持ちになった。

私は彼のことが好きだし、過去なんてもう過ぎ去った話。
それに私の方が、結婚まで考えた相手がいて、何も言えない。
でも、胸がざわつくのは……。


「そういう恭子はどうなんだ」


つかさず反撃に出た平井さん。
でも……。


「バカね。そんなの内緒に決まってるでしょ」


ビールを煽って当たり前のように言う彼女に、みんなが唖然とする。


「マジか……」

「賢治。お前、最強の嫁もらったみたいだな」

「みたいだ、な」



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