私を壊して そしてキスして
ギギギ
さっき入れたエアコンがようやく運転を始めた頃、私は彼の指の繰り出す刺激に耐えかねて、思わず彼にしがみついた。
「んんん……」
彼は私より何倍も呑んだのに、もうすっかり素面に見える。
「いやっ……あっ、あぁ……」
もう腰が砕けそうになったとき、ふわっと体が宙に浮いて、ベッドに押し倒された。
「上田がな」
「えっ?」
「菜那のスイッチ入れといたとさ」
「はっ?」
「嫉妬、しただろ。昔の女に」
冗談のような言い方だけれど、彼の顔が真剣だ。
嫉妬……した。
私の知らない翔梧さんを知っている女(ひと)がいるのだから。
そして、彼がこうやって抱きしめた女が……。