私を壊して そしてキスして
「正直に言う。
付き合ったやつもいた。
だけど、こうして生涯を共にしたいと思ったのは、菜那だけだ」
「翔梧さん……」
「俺だって、ずっと嫉妬してたんだぞ?
嫉妬なんてもんじゃない。呪い殺したくなるほど、アイツをな」
靖司、のことだ。
「ごめんな、さい」
「バカだな。謝ってほしいわけじゃない。
俺にとっては苦しい時間だったけど、どんな出来事もそれが今の菜那を作っている。
それを乗り越えてきたから、今の菜那がいるんだ。
そして、そんな菜那が愛おしい」
靖司との過去をすべて消し去りたいと願っていた私。
だけど、彼の言葉で目が覚めた。
辛い経験だった。
だけど、そんな経験も私という人物を形成する一つになっているのかもしれない。
私のそんな過去を否定しないで受け止めてくれる彼。
そんな彼に愛されている喜び。