私を壊して そしてキスして
個性的な器に、素晴らしい花の数々。
ちっとも作法もわからない私だけど、すごく斬新的な感じが伝わってくる。
「また親父、冒険したな」
一番目立つところに大きな生け花。
それがお父様のものだった。
「うちは大きな流派じゃないから、親父は敷居を高くしたくないと常々言っている。
それで、流行のものを取り入れたり、若い子にも受けそうな花を使ったりして」
「そうなんですか」
「俺の仕事も、親父のそういう姿勢に影響されているのかもしれないな。
古きに固執せず、常に新しきを求める。
華をやっていてあんまり楽しかった思い出はないけど、そこは勉強になったかも」
なんてクスクス笑う彼。
彼だって十分素敵なものを作り出すのに。