私を壊して そしてキスして

「奥さんも、花をされるんですか?」

「いえっ、まったく分かりません。ごめんなさい」

「あはは。翔梧、また内緒にしてたんだろ。
こいつ、そんな家の人間だと知られたらモテなくなるって、ずっと隠してたんですよ」

「うるさい。余分なことを」


ジロッとにらむ翔梧さん。
昔のことを暴露されるのが、どうも嫌いらしい。


「私、知りませんでしたけど、翔梧さんが家業を誇りに思っていることはとてもうれしいです」

「菜那……」


こんな風に言う彼だけど、きっとお父様が自慢なんだと思う。
お父様が彼を自慢の息子だと思うように。


「私も習えるといいな」

「もちろんですよ。お越しください。
翔梧よりは丁寧にお教えします」

「チッ」


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