私を壊して そしてキスして

なにかを手にして溜息をついている彼女。
彼女の背中が邪魔になってそれが見えない。


「ただいま」

「えっ! あっ……お帰りなさい」


俺が声をかけると、びっくりするくらい慌てた彼女は、それをとっさに後ろに隠す。


「菜那、なに隠した?」

「いえっ、なにも……」


激しく首を振る彼女だけど、近づいてそれを取り上げた。


「これ……」

「ヤッ……これはあのっ……」


チョコだとばかり思っていた俺は、それがセクシーな下着だったことに驚く。


「返して!」

「返さない」

「翔梧さん、お願い」


慌てる彼女がかわいらしい。


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