私を壊して そしてキスして
彼女の柔らかい唇にキスをすると、すぐに彼女からため息が漏れる。
この瞬間がたまらない。
「女」のスイッチの入るこの瞬間が。
「待って、チョコ」
「それはあとで口移しで」
「そ、そんなこと無理です。あっ……」
真っ赤な顔をして抵抗する彼女だけど、少し肌に触れるだけで声を上げるのがまたたまらない。
「菜那……ありがとう」
「えっ?」
「花」
「――うん」
彼女は多分、凌雅のところに通ったのだろう。
もしかしたら上田も一緒に。
彼女のそんな気遣いが、うれしくてたまらない。
「んんっ……待って、翔梧さん」
そんな色っぽい顔をして言われたら、待てるわけがない。
「愛してるよ、菜那」
チョコより甘い夜がこれから始まる。
【番外編SS Fin】
読んでくださった皆様、ありがとうございました。
2013.02.16 佐倉伊織