私を壊して そしてキスして
彼が帰ってくると、私は早速キッチンに立った。
「体調は、大丈夫なのか?」としきりに心配する彼に、「大丈夫だから座っていてください」とお願いする。
けれど落ち着かないのか、隣に来てコーヒーを淹れ始めた。
「菜那ってすごいんだな」
ただ目玉焼きを焼いているだけでそんなことをいう彼に、やっぱり笑ってしまう。
「どこがですか? こんなの小学生だってできますよ。今度はもっとちゃんとしたものを作りますから」
あっ……。
彼の帰らなくていいという言葉に、どこか甘えている自分に気が付く。
ボロボロな私を放っておけない彼の優しさに、甘えていてはいけない。