私を壊して そしてキスして

「そうか。俺は小学生以下か」


彼がクスクス笑う。


「スクランブルエッグはできるんだぞ? ちゃんと目玉に割れないだけだ。
でも、練習しなくてよかったよ。菜那に作ってもらえるなんてな」


「ごめんなさい。
私、翔梧さんとこうしていられるのが楽しくて、甘えていました。
これを作ったら帰ります」


私が火を止めてそう言うと、彼は「はぁっ」とため息をつく。


「まったくお前は……そういう頑固なところは変わらないんだな。

入社した時からずっとだ。全部自分で完璧にしようとする。
それで、それができないと自分を責める。

それは悪い癖だといっただろ?」


そうだ。

仕事をしているとき、それは何度も彼に言われてその度に反省した。
それでも性格なのかなかなか抜けなくて。



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