私を壊して そしてキスして
「お前は一人じゃないと、ずっと教えてきたつもりだったが」
「はい」
「これじゃ、上司のお説教だな」
彼が一貫して言っていたのは、一人で無理なら誰かを頼れということだった。
そして、自分も誰かの支えになればいいと。
そうすれば、1の力が2にも3にも変わるんだと。
そうやって他人を信頼することも、仕事をする上では大切なことなんだといつも言っていた。
「ごめんなさい」
「わかれば、よろしい」
私の頭に手を置いてガシガシ撫でる彼は、私の顔を覗き込んだ。
「今は、俺に頼ってみないか?」
「翔梧さん……」
「絶対に悪いようにはしない」
彼は今まで嘘をついたことはない。
きっと今回だってそうだろう。