私を壊して そしてキスして

ドアが開いた瞬間、彼の腕に閉じ込められて――。


「どうして一人で抱える」

「だって……こんな弱い……」

「もしそうだとしても、それが菜那なんだ。俺はそんなことでは動じない。菜那が、好きだから」


彼の言葉に目が覚める。

これが、私。
弱くて泣いてばかりいて……いつまでも前を向けない、私。

それを受け入れなければ、そこから進むことなんてできないのかもしれないと、気づかされる。


彼の胸にしがみついて、そのまま涙を流す。

辛いの。
辛くて仕方がないの。

誰かに助けてほしいの。


そんな気持ちが溢れ出てきそうで。



< 48 / 372 >

この作品をシェア

pagetop