私を壊して そしてキスして
「辛かったな、菜那」
彼のそんな言葉に素直に頷く。
「もう、大丈夫だ」
彼がそう言ってくれると、本当に私には未来があるように感じる。
小さな子が母親の愛にしがみつくように、私も彼に……。
「翔梧さん」
「ん?」
「私、変われるかな?」
「当たり前だ。俺が必ずそうさせる」
「怖いの。怖くて仕方ないの」
私がそんな言葉を漏らすと、彼は私の髪に手を入れながらゆっくりそれを梳いた。
「わかってる。焦らなくていい。深い傷はすぐにはよくならないんだぞ?
だけど人には自分で治す力がある。心だってそうだ。
俺が飛び切り効く薬になるから。だから、俺を信じろ」
彼のそんな言葉に、私は小さく頷いた。