私を壊して そしてキスして
壊して
彼と一緒に、家に帰ることにした。
一人で帰るのが辛いあの場所。
彼がいてくれれば、きっと私は、大丈夫。
彼は、休日だというのにきちんとスーツを着て、ネクタイを締めている。
きっとオーダーであろうブリティッシュスタイルの濃紺のスーツは、彼の体にぴったりフィットしていて、少しも無駄がない。
「なんだ?」
私が彼を何気なく見つめていると、彼が私のところまでやってくる。
「そんな物欲しげな目で見つめられると、キスしたくなる」
そんな言葉に驚いていると、クスクス笑いながら、私の頭に手を置く。
「冗談。半分は本気だけど。早く俺に惚れてくれよ?」
そんな風に言われると、昨日交わした熱いキスを思い出して、赤くなってしまう。
間近で感じる彼の鼓動に、ドキドキするのは何故だろう。