私を壊して そしてキスして

「翔梧さん、翔梧さんは私を置いていかないで……」


彼に対する気持ちが、好きという感情なのかまだよく分からないというのに、そんなことを口にしてしまって少し後悔する。


自分勝手な……ただ、誰かに傍にいて欲しいというそんな感情で、彼を縛り付けたりしたらいけないことは、十分すぎるほど分かっているのに。

それでも、誰かに捨てられるのはもう嫌だ。
誰かに裏切られるのは……。


「どこにも行かない。お前が俺を求めてくれるなら。
それに、それはこっちのセリフだ。
お前の温もりを知ったら、手放すのが怖い」



やっぱり、彼のそんな言葉に安堵するのは、きっと私が弱いからだ。



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