私を壊して そしてキスして
「菜那、お前はまず、自分を立て直せ。
仕事はゆっくり探せばいい。
何なら、どこか当たってやる。
だけど、その前にお前が壊れてしまったら、もう未来なんてないだろう?
まずは、拒食を治そう」
さっき、彼と一緒に摂った食事も、やっぱり戻してしまった私。
そんな私を心配げに包んでくれた彼の手は、とても温かかった。
彼と一緒に、不動産屋さんをあたることにした。
ワンルームのマンションをいくつか紹介してもらったけれど、それらすべてに、彼が首を振る。
セキュリティが甘い。周りが暗くて物騒だ。
まるで、親のように口を挟む。
「ご両親も納得してくれるようなところじゃないと」
そう漏らした彼の言葉に、心が温まる。