私を壊して そしてキスして
車に乗り込んだとき、彼は私の顔を見ながら、もう一度口を開く。
「俺がお前を好きなのは事実だ。
あいつから、奪いたいと思ったのも。
そして、もう離したくないとも思ってる。
本当は、部屋なんて見つからなければいいとさえ、思ってた」
この人は、グイグイ私を引き寄せる力がある。
言葉の一つ一つが、私の胸まできちんと届くから。
翔梧さんのことなら、もう一度人を好きになれるのかもしれないなんて、期待する自分がいる。
靖司に裏切られて、もう恋なんてしたくないって、ずっと思っていた。
そして、もう私にはできないんだって、思いこんでいた。
だけど、もしかしたら違うんじゃないかって。
なんだか、とても幸せな気分で、一日を過ごすことができた。